夢の農家レストランをオープン、デキる農業女子の経営戦略とは

みのり農園 高橋佳奈さん

高島市

みのり農園

高橋佳奈さん

大学で経営を学び、投資会社に勤めた経験から、数字に強い頭脳派農家。転職先の農業生産法人「耕す」で農業に3年間従事。もと料理人の夫と高島に移住し、2013年「みのり農園」を開業、2017年に「sato kitchen」を開店した。年間約200種の有機野菜を育て、飲食店、小売店、卸に販売する。

[農地面積]55a

[栽培品目]露地野菜

[営農開始]2013年

[主な販路]飲食店

高島市に移住し、年間約200種の有機野菜を作る高橋夫妻。昨年、築130年の古民家をリノベーションし、週末だけの農家レストラン「sato kitchen」を開店した。都会にない環境で、生産者が採れたての野菜を自ら調理し提供する。調理は、料理人の経験を持つ夫章隆さんの担当だ。

畑の野菜をふんだんに使ったランチ。

事業主は、妻の佳奈さん。強みは、経営の基礎知識があること。事業計画の作成や、決算書を読むのが得意だ。「自分で展開を決められるのが、農業の面白いところ。就農5年目での開店は計画通りです」という。
佳奈さんは、前職で、系列店のシェフたちと、どんな野菜を育てるか頻繁に会議したことから、料理人の野菜の好みや一般的な取引価格を学んだ。独立の際は、その知識を活かして顧客を飲食店に定め、料理で見栄えする野菜を有機栽培することにした。他より味が濃い野菜は評判となり、紹介で注文が増えた。農産物の商談展示会にも出店し、着実に顧客を増やすなど戦略的だ。
その甲斐あって、顧客の8割は首都圏や関西の飲食店が占める。取引前には、必ず畑に来てもらい、互いの方針を話し合うことで、信頼関係を築く。

関西では希少な黒ボク土の畑。前職のとき土で苦労したので、農地探しは土質にこだわった。

開店にあたり、資金の一部はクラウドファンディングを利用し、目標額の150%を達成した。
好条件の融資制度「青年等就農資金」も利用している。みのり農園を運営して4年、農産物販売だけでも返済できる目途がたったタイミングでの借金だ。「主軸は農業」という姿勢にブレはない。
収入が不安定な農業では、夫婦のどちらかが安定した職に就くという選択肢もあるが、佳奈さんにその考えはなかった。農業は一人より二人のほうが、何倍も効率があがるからだ。そもそもケンカはしない二人だが「夫婦はケンカしても滅多に別れないので、経営が破たんするリスクも少ないですよ」と笑う。
今年は、体験プログラムも試行する。「一般の方が、農業に興味をもってくれる入口になれば」と語る。更なる挑戦に期待が膨らむ。

築130年の古民家をリノベーション。ゆっくり過ごせる空間づくりを目指した。

店内の様子。

店内の様子。

野菜収穫カレンダー

5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
レタス・水菜・ルッコラ
玉ねぎ
にんじん・コールラビ
ズッキーニ
きゅうり
じゃがいも
かぼちゃ
とうもろこし
なす
パプリカ
チコリ
大根・カブ・ブロッコリー
自然薯

ほかにもお野菜いろいろあります!詳細はみのり農園ウェブサイト「フォトギャラリー」をご覧ください。