元OL2人が株式会社を設立、弥平とうがらしで理想のライフスタイルを追求!

株式会社fm craic 佐々木由珠さん 三峰教代さん

湖南市

株式会社fm craic

佐々木由珠さん・三峰教代さん

それぞれ中国・イギリスに留学経験のある元OL。職業訓練校で出会い2010年に就農、翌年に農業法人を設立した。20aで耕作しながら、商品開発する。社名のfmは「ファーム・遠くへ発信する」、craicはアイルランド語で「にぎやか・楽しい」の意味。

[農地面積]20a

[栽培品目]伝統野菜

[営農開始]2010年

[主な販路]自社サイト・小売店

 「自分達らしい、にぎやかで楽しい農業を発信したいんです」。そう語るのは、湖南市下田地区で伝統野菜「弥平とうがらし」を育てる佐々木由珠さん。職業訓練校のアグリファーム科で出会った三峰教代さんと、㈱fm craicを立ち上げた。

オレンジ色でぷっくりした形がかわいい弥平とうがらし。辛さは鷹の爪の2倍!
オレンジ色でぷっくりした形がかわいい弥平とうがらし。辛さは鷹の爪の2倍!

 その言葉どおり、二人の作業風景は楽しそうだ。長靴こそ履いているものの、服装はそのまま町に出てもおかしくないし、収穫グッズもカラフル。おしゃべりにも余念がない。
 起業した理由を尋ねると、「30歳を目前に、生き方と働き方について悩みました。理想のライフスタイルを追求できるのも、農業の魅力と思います」。
 しかし、現実は厳しく、農地も機械も技術も何もない二人が、いざ農業を始めようにも、社会的信用がないと何も進まないことを痛感した。継続していく決意表明も込めて法人化することに。お互いが単なる友達ではなく、ビジネスパートナーであることを、より一層認識するようになったという。

 当初は、地域の伝統野菜である下田なすを栽培していた。しかし、なすは単価が低いうえに、年間の安定供給が難しい。野菜を野菜として販売することに限界を感じていた矢先、師匠と頼る農家から弥平とうがらしの存在を教わった。
 弥平とうがらしは、100年以上前から地元で漬物用に受け継がれてきたもの。辛さは鷹の爪の2倍もあるが甘さもあり、芳醇な香りが特徴だ。弥平とうがらしの加工品なら、付加価値をつけて安定供給できる。理想のライフスタイルを実現できる!と、栽培品目を弥平とうがらしに移行した。
 その後は精力的に商品化にチャレンジ。こうした二人の功績もあり、湖南市では、観光協会主催で弥平とうがらしのイベントが、毎年開催されるようになった。
 「この土地の土壌に合っているからこそ、一世紀以上も種を絶やさず生産が続いてきた地元の財産。地域ぐるみで後世にも繋げていきたい」と語る。7年前は、誰も知らなかった弥平とうがらし。いまや全国に広まりつつある。

世界中を食べ歩いた自分たちが「食べたい!誰かにあげたい!」と思える商品づくりをしている。写真は、弥平とうがらしを使った用品たち。左上から時計回りに「弥平チリトマトカレー」「弥平ガパオ」「スイートチリソース」「ホットチリソース」「ぴりり(インディアンスパイシー)」「ぴりり(一味)」「ぴりり(イタリアンスパイシー)」
世界中を食べ歩いた自分たちが「食べたい!誰かにあげたい!」と思える商品づくりをしている。写真は、弥平とうがらしを使った用品たち。左上から時計回りに「弥平チリトマトカレー」「弥平ガパオ」「スイートチリソース」「ホットチリソース」「ぴりり(インディアンスパイシー)」「ぴりり(一味)」「ぴりり(イタリアンスパイシー)」
乾燥させた弥平とうがらしを必要なときに粉砕することで、いつでも挽きたての芳醇な香りを提供できる。
乾燥させた弥平とうがらしを必要なときに粉砕することで、いつでも挽きたての芳醇な香りを提供できる。
自己資金で購入した乾燥機「ミニミニDX」。
自己資金で購入した乾燥機「ミニミニDX」。