ゼロからの熟成チーズづくり、日本の酪農や農業を牽引したい

株式会社古株牧場 古株つや子さん

竜王町

株式会社古株牧場

古株つや子さん

酪農・肥育業・米栽培など、循環型農業に力を入れる。2004年「湖華舞」のオープンと同時に就農した。2008年チーズ事業開始。酪農に憧れをもってほしいので、ファッションには手を抜かない。2児の母。「生き物相手の仕事なので、体はきついけど楽しいです!」

[農地面積]水稲30ha

[栽培品目]肥育牛500頭・乳牛40頭・山羊3頭

[営農開始]2004年

[主な販路]自社店舗・道の駅・ホテル・飲食店

 竜王町で50年以上にわたり営まれる古株牧場。その直営ショップ「湖華舞」の工房から、つなぎ姿の古株つや子さんが現れた。チーズをもっと知ってもらいたいと、3店舗目を展開したばかりで多忙な日々だ。
 当初は、チーズがミルクからできていることくらいしか知らず、本当にゼロからのスタート。チーズの基礎知識を学ぶセミナーで、講師に相談し出向いたフランスで、運命的な出会いを果たした。代表作「つやこフロマージュ」を作るきっかけとなった、酸凝固のチーズ「サン・マルスラン」だ。熟成の進み具合で様々な味を楽しめる。絶対に作りたいと思った。

爽やかな酸味が特徴の「つやこフロマージュ」。熟成による変化を愉しんで。ラインナップが増え、近年は山羊のチーズや発酵バターも生産する。
爽やかな酸味が特徴の「つやこフロマージュ」。熟成による変化を愉しんで。ラインナップが増え、近年は山羊のチーズや発酵バターも生産する。

 帰国後、北海道でチーズの作りかたを学び、「これで自分のチーズがつくれる!」と奮起したのも束の間、自社ではまったく思い通りにいかない。すでに補助金で300万円の熟成庫を購入しており、後に退ける状況ではなかった。「今日もつくらなあかんのか」と、精神的につらい日が続いた。

 それでも試行錯誤を繰り返し、どうにかチーズを理解できるように。そして、さらに技術を高めようと、原点のフランスへ渡り、製造で行う全てのことを吸収しようと、酸度やpHなどを逐一聞き出した。
 ある日、研修先の農家から「毎日、天候や牛の調子でミルクは変わる。それに合わせて私たちは作るだけ。数値だけが問題ではない」と言われ、衝撃を受けた。素材の状態を見極めて作れば、それほど難しいことではなかったのだ。
 それから周りからの評価がガラリと変わった。納得いくものを出せるようになり、仕事のモチベーションも変わった。
 現在は、自分のチーズを「普段の食卓にある、漬物みたいな存在にしたい」と、邁進する日々。その努力が実り、全国から注文が寄せられている。
 夢は、「湖華舞の乳製品だけでなく、古株牧場の肉や米も日本のトップブランドに育て、業界を牽引するスペシャリストであり続けること」と果てしなく広がる。

その日のミルクの状態に合わせて、手際よく作業をこなす。
その日のミルクの状態に合わせて、手際よく作業をこなす。
店ではランチが楽しめる。本店では自分で作ったモッツァレラチーズでピザを焼く体験型メニューも人気。
店ではランチが楽しめる。本店では自分で作ったモッツァレラチーズでピザを焼く体験型メニューも人気。
チーズづくりを始めた頃は、素材を知るため飼育にも積極的に参加した。現在も山羊は自ら飼育する。
チーズづくりを始めた頃は、素材を知るため飼育にも積極的に参加した。現在も山羊は自ら飼育する。「後継者不足で悩む酪農家も多い。そうした所を若い人に継いでもらいたい」。

補助金制度

こんな補助金を活用しました!申請は大変だけど利用の価値あり。周囲も巻き込んでプラスアルファに。

  • しが新事業応援ファンド助成金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 地域経済循環創造事業補助金
  • ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金
  • 畜産クラスター事業