非農家から農家に嫁入り、女性の力で直売所を盛り上げる

くよもん農園 久保田優子さん

愛荘町

くよもん農園

久保田優子さん

米32ha、野菜10ha、果樹30aなどを栽培する大規模農家に嫁ぎ、農園の手伝いや経理全般を担当してきた。2017年「くよもん農園直売所」のオープンを機に、直売所を切り盛りする。控えめな性格ながら、4人の子を育てるバイタリティで、明るくテキパキと仕事をこなす。

[農地面積]約42ha

[栽培品目]米・野菜・果樹

[営農開始]2003年

[主な販路]自社直売所・市場・米穀店・漬物店

 久保田優子さんは、4人の子を持つお母さん。非農家の家庭に育ち農業とは無縁だったが、室町時代以前から続く大規模農家「くよもん農園」に嫁いだ。子育ての傍ら、農業を手伝う毎日だったが、ある日、夫が直売所を始めると宣言。オープン後、しっかり者の優子さんが手伝うと、次第に店を任されるようになった。
 直売所には、農園で採れた米や野菜のほかに、おにぎりや惣菜など手作りのものが並ぶ。

弁当や惣菜の素材は、できるだけ地域のものを使用。イートインコーナーもあり、お昼時はとてもにぎやか。
弁当や惣菜の素材は、できるだけ地域のものを使用。イートインコーナーもあり、お昼時はとてもにぎやか。

 「いまは女の人も外で働く時代。昔のように、葬式や法事で料理を手伝うこともなくなった。それでウチのような店がお役にたてる。時代の流れやなぁ」。とは姑の秀子さん。通称、くよもんかあちゃん。店頭に並ぶ味噌、麹、甘酒、梅干しなどを手作りしている。
 「お義母さんの商品は、どれも昔ながらの作りかたでほんまもん。とても評判なんですよ」と、さり気なく商品が差し出される。「うちのお米を食べてほしい」そんな想いが商品には込められている。

くよもんかあちゃん
姑の秀子さん(通称くよもんかあちゃん)。「女性は食の分野まで気配りできるので、農業に関わる意味は大きい。積極的に出掛けて作り手の顔を覚えてもらうことが大事」。
「くよもんかあちゃん」シリーズ。こだわりは「こだわらないこと」。梅干しは焼酎を使わず塩と紫蘇のみ。味噌は、大豆1:糀2の割合で作る倍麹味噌。甘酒も好評。
「くよもんかあちゃん」シリーズ。こだわりは「こだわらないこと」。梅干しは焼酎を使わず塩と紫蘇のみ。味噌は、大豆1:糀2の割合で作る倍麹味噌。甘酒も好評。

 「夫の一存で始めた商売ですが、良い経験をさせてもらっています」と優子さん。売上アップの秘訣は、季節ごとに節分の太巻きや土用のうなぎを販売したり、地域のスポーツ少年団や学童のお弁当を仕出ししたりすること。そして、何より美味しいことだ。
 「一度食べれば、美味しさを理解してもらえるので次に繋がります」。
 キッチンでは近所のおかあさん達が、手際よく惣菜を仕込んでいる。評判の惣菜店を高齢でたたんだ人や、給食センターの調理経験者だ。外交の得意な姑がスカウトした。
 「うちは長閑な所なので、人との繋がりを大切にしています。直売所は良い人材との出会いと、地域の方からの支えがあってこそ。自分たちだけでは到底できません」。
 直売所の片付けを終えて、帰宅するのは毎晩7時半頃。子どもの面倒は、姑や義理の姉がみる。
 「お客様に美味しいと言ってもらえることが日々のモチベーションです」と優子さん。静かだが真っ直ぐな瞳は、充実感で溢れている。

ベテランのおかあさん達がテキパキと働く。
ベテランのおかあさん達がテキパキと働く。
赤かぶらは干して糠漬けにする。
赤かぶらは干して糠漬けにする。

年間カレンダー

売上アップの秘訣は季節ごとの工夫と、何より美味しいこと!

1月:正月 おせち・オードブル
2月:節分 恵方巻き
3月:ひな祭 ちらし寿司
4月:入学祝 お赤飯
5月:田植え お弁当
6月:オープン周年セール
7月:土用のうなぎ
8月:期間限定ブルーベリーソフトクリーム(7月~)
9月:スポーツ少年団お弁当
10月:運動会お弁当
11月:敬老会お弁当
12月:歳末感謝セール・クリスマスチキン